登山届の必要性

 山登りに行くのにいちいち登山届なんて書いていられるか、と思う人がいるかも知れません。確かに何もなければどうということは無いのですが、登山中、霧に巻かれた、登山道を失って怪我をしたなど、里では予想もしなかった事態に遭遇する事は結構あるものです。登山届は登山の最終チェックリストである事は言うまでもありませんが、万一に備えても、これほど味方になってくれるものは有りません。遭難救助で一番大切な初期行動が素早くとれる、これは取りも直さずあなたが遭難時生存できるか否かにかかわる重要な事柄です。安全な登山につながる登山届の提出は保険との両輪と考え必ず提出するよう心掛けましょう。

〈登山届を書く効用〉

◆メンバーの技術的、体力的に無理のない行程かチェック。
・メンバー自身も日程、行程を把握すると共に自分たちの力量を考える事ができます。
 
◆目標の山域を再認識。
 ・自分たちが目指す山域とそのコースやタイムを調べる事は当然の事ですが、知っているコースだからと、つい調べもせず出掛けてしまう事はままあるものです。しかし山は日々刻々変わりますので、登山届を書く事でコースにあった装備や食料、山行形態であるかを再確認しましょう。
 ・日の出、日の入りの時間を調べる事で、予定の行動時間の正否が分かります。
 ・手書きの概念図はその地形を頭にたたき込むという絶大な効果があります。概念図は必ず手書きしましょう。
◆持ち物チェックができる。
 ・つまらないミスや忘れ物によって非常事態に陥る事があります。持ち物チェックは入念にしましょう。
 
◆荒天対策を考える事でエスケープルート研究ができる。
 ・目的地に行くことばかり先行していると荒天対策はつい忘れがち、臨機応変の対応ができるようコースの検討や非常装備、非常食料の確認を怠りなく。
 
◆山岳会の場合は、経験豊富なチーフリーダーのアドバイスを受ける事ができる。
 ・チーフリーダーは、その季節や山行形態に有った行動時間や装備、ルート上の情報や注意点など、いろいろな事をアドバイスをしてくれます。
・チーフリーダーはあなたの登山が如何に成功裏に終わるかを願っています。決して止めさせるためとか、権限を無意に行使しようとしている訳ではありません。経験富で親切かつ適切なアドバイスを受けましょう。

◆山岳保険の条件である。

 ・登山届の提出義務は山岳保険の必須事項です。簡単に考え、あなたが落石を起こし他人に怪我をさせて損害賠償を請求されても登山届の提出が無ければ保険はおりません。
 ・年令、血液型などは書きたくない、と言う人もいるでしょうが、これら未記入の登山届はあなたの登山姿勢を問われますので、なるべく詳しく記入しましょう。