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戸隠高原越水
登山コース説明
グーテンターク会員 松田美宏
戸隠連峰は凝灰質集塊岩からなり、東面は鋭い懸崖絶壁となって切れ落ちている。一般に、戸隠連峰の中央部、八方睨から一不動鞍部までを表山と呼び(五地蔵山までと記してあるものもある)、八方睨から南西に延びる一帯を西岳と呼んでいる。五地蔵山の北西には秀麗な高妻山があり、この一帯は裏山と呼んでいる。一般の登山対象となるのは表山で、このハイライトは何と言っても八方睨へ至る岩稜歩きである。蟻ノ戸渡り、剣の刃渡りは左右が切れ落ちたナイフエッジでスリリングな通過となり、これに比べると高妻山や乙妻山は訪れる者も少ないが、近年は百名山ブームも手伝ってか、よく登られている。このピラミダルな高峰は容姿からも登高意欲が湧く。西岳は頂稜が困難な岩場で距離も長く、一般向な登山路とはいえない。
@奥社〜八方睨み〜戸隠牧場 |
戸隠奥社入口から戸隠奥社まで参道を行く。途中に随神門があり、ここから立派な杉並木が始まる。入口から約40分で奥社に着く。この水はおいしい、上に水場はないので補給しておきたい。社務所の横が登山道入り口で登山ポストがある。道は最初から急登となり、30分で尾根上に出る。ここから20分で五十間長屋、続いて百聞長屋に着く。笹道を登り、右に西窟を見て、5m程の鎖場を登ると天狗ノ露地に出る。ここからは本院岳が間近に見える。天狗ノ露地から数ヶ所小尾根の鎖場を登ると胸突岩に出る。ここを登リきればれば蟻ノ戸渡りである。続いて剣の刃渡りで両側が百メートル程切れ落ちている。ここではファミリー登山や夫婦連れの奥方が尾根をまたいで立ち尽くし(座り尽くし)身動き取れずに泣きべそをかき、夫も手をこまねいている姿を何度も見かける。安易な気持ちで渡らない方がよい。ここも過ぎ、最後の岩溝を登れば八方睨に到達する。方向指示盤があり、景色は絶景で今までの苦労も飛んでしまう。
八方睨から一不動への縦走は、尾根の西面は緩やかであるが東面は切れ落ちた岩壁で、小ピークを登り降りしながら九頭龍山を過ぎ、屏風岩から尾根を登りきると、一不動避難小屋が下方に見えてくる。避難小屋はブロック造りで15人ほどの収容となっている。避難小屋から10分程下った所に一杯清水(氷清水)の水場があり、その先は不動滝へと続く。次に帯岩でこのスラブ状の岩帯を右へトラバースする。岩には小さいながらもステップが刻まれ、鎖も付けられているが滑りやすいのでバランスには特に注意したい。岩の多い枝沢を下って大洞沢へ出る。沢沿いを右岸に渡り森林帯を抜け戸隠牧場にでる。牧場の中をしばらく進むと牧場事務所の牧門に出る。そのままキャンプ場に出て10分で戸隠キャンプ場バス停に着く。長野バスターミナル行のバスは概ね1時間ごとにある。
A戸隠牧場〜高妻山(乙妻山) |
戸隠山キャンプ場のバス停から逆さ川を渡り、キャンプ場との分岐を右に進むと戸隠牧場入り口の牧門に着く、牧場見学者の入場は有料だが、登山者は無料で入れる。牧場を抜けて大洞沢を渡る。滑滝の鎖場をすぎ、不動滝下を通りスラブ状の帯岩をトラバースすると不動滝の落し口に出る。さらに登ると一杯清水(氷清水)の水場に出るが、これより上部に水場はないから水筒は一杯にしておきたい。あと一登りで一不動に着く。
一不動避難小屋から北の笹藪へ入る。5分ほどで尾根の東側に出る。ここに二釈迦の石祠がある。後、三文珠、四普賢、、五地蔵と続くが、一不動から五地蔵まで50分ほどだ。五地蔵山頂は小さな広場になっていて、高妻山が堂々と目の前に聳え立っている。道は左へ曲がり、小さなピークを三つ越えて八丁ダルミヘ出る。風化した堆積岩を過ぎ、胸を突く急坂をよじ登って頂稜に出る。御鏡(青銅鏡の御神体)を越えてから少し行くと、2352.8mの高妻山山頂である。目の前に広がる北アルプス、妙高連峰の展望は素晴らしい。一般登山者は今きた道をそのまま引き返す方が賢明である。
乙妻山まで足をのばす場合は往復2時間かかる。日帰りとしては長丁場で、足自慢の健脚向きとなるこのコースは、一般者は安全圏を考えて一不動非難小屋泊の計書をして欲しい。登山コースとしては高妻山からは北に向い、ナイフリッジを越え、お花畑を過ぎて日本庭園の熊の平を越えれば乙妻山である。訪れる者も少なく、今でも秘境といえる場所だ。付け加えると、昭和53年「やまびこ国体」(長野国体)の時、山岳競技コースとして五地蔵から高妻を越え、乙妻山から西にある合ノ峰を経て奥裾花キャンプ場に下るコースを切り開き整備をした。今は乙妻から先のコースは踏み跡程度に荒廃してルートファイティングが必要となっている。
B戸隠奥社〜西岳 |
八方睨みまでは@の表山縦走を参照して欲しい。八方睨み頂上の旧避難小屋跡の土台痕跡の裏手から低木帯の尾根を下りおりる。栂ノ廊下のピークを越え再び最低鞍部まで急下降する。一息ノ峰を越えると正面は岩壁で立ちはだる。道はネマガリダケの笹薮中を右へトラバースして、笹薮が切れたあたりから左の枝尾根に取り付く。ダケカンバ帯を登り板倉清水の水場に出るが、夏はほとんど涸れている。稜線西側巻くように進み本院手前の小ピークを越えると10分ほどで本院岳本峰2030mに着く。
西岳への稜線は右側はネマガリダケの斜面だが、左側は断崖絶壁となり、その縁を縦走路が続いている。西岳キレットから泥、岩のミックス岩壁の鎖場を登り切ると西岳頂上に着く。ここからP1との鞍部までは緩やかに下り、鞍部からは左の断崖縁を通ってP1頂上に辿りつく。P1の頂上はハイマツと岩の小広場となっている。これから下山のP1尾根は高度を急激に落し、岩場、鎖場の連続で緊張を大いに強いられるので、今のうちに腹ごしらえをしっかりして置こう。
下山はP1尾根を10分ほど下ると不帰ノ嶮。泥まじりの岩に付けられた鎖場を下る。ここは過去に墜死者が出ているから注意。次が蟻ノ戸渡りであるが八方睨みの蟻ノ戸渡りより幅も広く気は楽である。しかしここも墜死者が出ている。蟻ノ戸渡りを渡り切ると同時に左へU字状に道が続く。渡りきって安心の精か、このなんでもないU字の低潅木沢にも足を踏み外す者がいる。ここは特段注意しておこう。次が無念ノ峰の鉄梯子。あと15分で猿ノ岩場で、ここは少しおりたら右、潅木のチムニーを下る。鎖3本で熊ノ遊場、さらに鎖1本で岩場も終る。細い尾根の小ピークを幾つも越えながら高度を落し見晴台(望岳台)に着く。樹林帯を下り天狗平の牧草地に出る。後ろを振り向けば今来たP1尾根が迫っている。左の林を降り楠川に出る。飛び石伝いに楠川を渡り、草ヤブを少し登ると西岳登山道の道標がある。ここから戸隠中社と上楠川橋経由宝光社とに別れる。交通事情によりどちらを選んでも良い。
●西岳に登るには長野在住なら早立ちで日帰りも出来るが、通常は戸隠中社や戸隠越水あたりに一泊して、翌日の早立とする。下山後は、戸隠中社発18時50分の最終バスに乗れればその日のうちに東京に帰ることも出来る。
●一般登山者でも八方睨から本院岳までは往復することができる。ただし健脚向きである。八方睨〜本院岳間は往復3時間。
●本院岳から先、西岳〜P1尾根に向うコースは熟達者向けで危険個所多く、墜死者も出ている。一般登山者には不向きである。
登山適期 |
交通・アプローチ |
JR・長距離高速バス
J R |
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・(東京→長野)長野新幹線時刻表 |
土日は→クリック |
平日は→クリック |
・(長野→東京)長野新幹線時刻表 |
土日は→クリック |
平日は→クリック |
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長距離高速バス |
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・(新宿〜長野線) 高速バス時刻/料金表 |
→クリック |
京王バスTEL03-5376-2222 |
・(大阪、京都〜長野) 高速バス時刻/料金表 |
→クリック |
阪急バスTEL06-6866-3147 |
観光路線バス
・長野駅西口(善光寺口)前の川中島バス営業所の前、F番乗り場からから戸隠キャンプ場行のバスが出ている。八方睨みは戸隠奥社入口で下車。五地蔵、高妻山へは戸隠キャンプ場で下車。
・川中島バス(戸隠キャンプ場線)時刻/料金表 →クリック 問い合わせは本社営業所 TEL026-221-6100
マイカー・タクシー
・戸隠奥社前、戸隠キャンプ場、鏡池に駐車場あり。
・西岳入下山口である上楠川橋から宝光社までバス等の交通手段はない。(徒歩30分)
・上楠川橋上流のつり橋までは、小型車なら入れるが、ここには車のユータン場所のみで駐車スペースはない。
・下山時にタクシーを利用する場合は、長野観光タクシー戸隠営業所
TEL026-254-2121
地形図
5万分の1/戸隠
25000分の1/高妻山
登山計画書
提出場所●長野県警察本部地域課 380-8501 長野市南長野幅下692-2 TEL026-233-0110
・一不動コース
戸隠牧場事務所ポスト
・八方睨コース
奥社登山口ポスト
・西岳鏡池口コース
なし
・西岳上楠川口コース
上楠川登山口ポスト
問合せ
●戸隠村役場観光課 TEL026-254-2223
●戸隠観光協会 TEL026-254-2888
・一不動避難小屋
無人/収容約15人