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中ア遭難4人目の死亡確認 | |||||||
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中央アルプス檜尾岳(2728b)付近で7月29日に起きた韓国人グループの遭 難事故で、駒ケ根署などは31日、宝剣岳(2931b)西側の沢で30日に心肺停止状 態で見つかった男性1人を県警ヘリコブターで収容、同署で死亡を確認した。男性は稜線から滑落し、死因は多発外傷。30日に死亡が確認された男性3人と合わせ、身 元の確認を急いでいる。亡くなった人たちの関係者が31日に来日し、同日夕に上伊那郡飯島町の葬祭場で遺体と対面した。
同署によると、滑落した男性は長袖のポロシャツの上に薄手のヤッケを着ていた。
韓国人グループは20人で、韓国の旅行会社が企画したツアーに参加。このうち9人と29日に連絡が取れなくなった。30日に5人が自力下山したが、3人が稜線上の登山道の別々の場所で、1人は稜線の約100b下で、いずれも心肺停止状態で見つかった。
4人の溝体は飯島町の葬祭場に移され、31日午後5時半すぎに関係者6人がバスや乗用車で到着。遺体と対面し、同署の聴取を受けた。報道陣の呼び掛けには答えず、同9時前に葬祭場を後にした。
同署によると、30日までに下山した韓国人登山者16人は、31日午前に駒ケ根市を出発、帰国した。当初の予定では30日に下山し、31日に東京観光をして1日帰国の予定だった。
「案内表示不足」韓国領事が指摘
韓国人グループ遭難事故で、死亡した4人の関係者に付き添った李永龍・駐新潟韓国総領事は31日、上伊那郡飯島町で報道陣の取材に対し、「文句を言うわけではない」とした上で、下山した韓国人16人が案内表示板が十分でなかったと話していたと説明し、「(表示が)もっとあれば厳しい状況の中で役立ったのではないか」と述べた。
グループの20人がばらばらになったことには「気候が急に変わり、体力が落ちる人やスピードが合わない人が発生し間隔が空いた。(一方で)早く山荘に着きたいと急いだ人もいたのではないか」と話した。
一方、韓国の李丙h駐日大便は31日、岸田文雄外相から遭難事故について哀悼の意を表するメッセージを受け取ったのに対し、登山客の救助に当たった長野県警を含め、日本側に謝意を示すメッセージを岸田氏に送った。
写真:飯島町の葬祭場に到着した遭難者の関係者ら=31日午後5時35分
木曽殿山荘〜宝剣岳のルート 高低差激しい「吹きさらし」
中央アルプスでメンバー4人が遭難死した韓国人のグループが、7月29日にたどった木曽殿山荘から宝剣岳(2931b)までの登山道は、森林限界を超えた稜線上のルートで高低差も激しい。地元の山岳関係者は体力を消耗しやすいコースの上、当日の強い風雨を遮る樹林などもなかったため、体温を奪われたのではないかとみている。
グループは28日に空木岳(2864b)に登り、約370b下った軟部にある同山荘に宿泊した。
翌29日午前6時ごろ出発し、東川岳(2671b)、熊沢岳(2778b)を経て檜尾岳(2728b)を目指した。
登山道はその後、約200bの下り、100b以上の登りを繰り返す。中ア地区山岳遭難防止対策協会員の堺沢清人さん(77)=駒ケ根市=は「アップダウンが激しいコース」と指摘。島田娘の頭(2858bまでの距離は6`余りだが、登山地図上のコースタイムは6時間10分だ。
稜線上は西風が吹き付けるが、直下の斜面に高さ1b程度のハイマツ帯が広がるだけ。29日は県全域で雨が降り、日本気象協会長野支店(長野市)によると、駒ケ岳(2956b)直下の山小屋の同日午前9時の気温は11・4度、午後3時は11・3度とこの季節として低めだった。
伊那山の会会長の田中幸雄さん(65)=上伊那郡箕輪町=は「吹きさらしの道。強い風雨に長時間さらされると、雨具を着ていても体温を奪われやすい」と話す。
檎尾岳や島田娘の頭を過ぎた極楽平からは、稜線を外れる登山道もある。だが、転落死して最後に見つかった男性は、そのまま宝剣岳(2931b)北側の宝剣山荘を目指したとみられる。一帯は岩場で、両手で岩をつかんで体を支えながら通過するような急斜面もある。関係者によると、男性はほぼ山頂の直下に100bほど滑落していた。山荘まではあと20分ほどの距離だった。
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韓国メディア無謀な登山 | |||||||
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【ソウル共同】中央アルプス檜尾岳付近で起きた韓国人ツアー客の集団遭難事故について、韓国では新聞各紙が1面で報道、テレビ局は東京特派員を現地に派遣するなどして大きく伝えた。韓国には標高2千bを超える山がなく、日本の登山コースは人気だが、十分な準備のない「無謀な海外登山」が事故を招いたとして警鐘を鳴らしている。
韓国メディアは、ツアー客一行にガイドが同行していなかったことや、日本の山岳地帯で使える携帯電話を持っていなかったことなどに注目。高齢者も含む一行が準備不足のまま「無理な登山」をしたなどと伝えた。
聯合:ユースは、事故が「地元の状況に精通した現地ガイドの必要性をあらためて示した」と指摘。死亡した4人のうち3人が低体温症になった可能性に触れ「海外の高峰に登る際は、夏でも冬用の防寒着が必要と強調した。
2010年の世論調査で成人の4割が「月に1回以上、山に登る」と回答するなど、韓国には登山愛好者が多い。だが同国最高峰の南部済州島の漢拏山でも標高は1950b。3千b級の山が連なる日本のコースはベテランを中心に人気がある。一方、韓国の旅行会社は中央アルプスを「癒やしのトレッキングコース」などと銘打って売り出しており、険しい登山道との認識が十分に広まっていないとの指摘も出ている。