県に山岳用ヘルメット

山岳救助機構 重大事故の防止期待

山小屋で登山者に貸し出し

信濃毎日新聞 掲載

平成26年08月20日(水)

スクラップ


 会員制で山岳遭難時の捜索費用などを援助する日本山岳救助機構合同会社(東京)が19日、山小屋が登山者に有償で貸し出す山岳用ヘルメット30個を県に贈った。ヘルメットは、県山岳遭難防止対策協会(県遭対協)を通じて北アルプス南部の西穂山荘に配置する。県によると、遭難者の4人に1人が頭部を負傷しており、ヘルメット着用が重大事故の防止につながることを期待している。

 県遭対協は昨年7月、遭難事故が多発し、特に安全への配慮が必要な県内山岳5地域を「ヘルメット着用奨励山域」に指定。既に、登山用品会社やNPO法人から計200個の寄贈を受け、各山域の山小屋などで有償で貸し出しが始まっている。

 この日は、日本山岳救助機構の代表社員若村勝昭さん(72)=東京=が県庁を訪れ、野池明登・県観光部長に寄贈書を手渡した。

 若村さんはおしゃれを楽しむ「山ガール」を引き合いに出し、「楽しみながらヘルメットをかぶるようになればいい」。野池部長は「信州の山は国民の財産。安全登山を一層推進する」と応じた。

 日本山岳救助機構は、全国に4万人を超える会員がおり、山岳遭難の際の捜索・救助費用を最大330万円補償している。

写真:ヘルメット寄贈後、安全な登山について野池観光部長と話す日本山岳救助機構の若村代表社員
日本山岳救助機構が寄贈した山岳用ヘルメット