国内山岳団体などがNPOのHPに掲載

雪崩事故電子文書で警鐘

信濃毎日新聞 掲載

平成25年12月27日(金)

スクラップ


 国内の山岳団体や山岳雑誌関係者らでつくる「雪崩安全を考える会」は今冬、雪崩事故に注意を呼び掛けるPDF(電子文書)形式のチラシを初めて作製した。過去23年間の国内の雪崩事故を分析し、傾向などを掲載。年末年始の登山シーズンを迎え、NPO法人日本雪崩ネットワーク(横浜市)のホームページで見られるようにした。印刷して自由に配布できる。

 昨季の年末年始、県内では北アルプス明神岳で男性2人が雪崩で死亡。こうした事故を踏まえ、考える会は「滑落や転落より件数は少ないが、経験豊富な登山者でも巻き込まれる雪崩に注意を促したい」とチラシを1枚作った。

 電波で位置を割り出すビーコンを装着していなかった登山者が雪崩に巻き込まれ、二次被害の危険にさらされながら捜索する救助隊の写真を使った。

 国内で1991〜2013年に発生した計124件の雪崩死亡事故の分析も載せた。積雪が不安定となり雪崩が誘発されやすい周期「雪崩サイクル」と、週末の好天が重なった時に大量遭難が発生している点などを指摘。死亡事故は、雪山を滑るバックカントリースキーやバックカントリースノーボードに比べ、登山者に多く、全体の約半数を占める状況なども示した。

 考える会を構成する日本山岳ガイド協会(東京)常務理事の武川俊二さん(59)は「雪崩に遭うような地形を避けて行動する技術が最も大切だ」と話している。 

写真:過去20年余の雪崩事 故を検証し、危険性 を伝えるチラシ