北ア船窪岳「山岳遺産」に

都内の基金県内初認定

一帯の登山道整備評価

信濃毎日新聞 掲載

平成25年10月24日(水)

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 日本山岳遺産基金(東京)は23日、「日本山岳遺産」に長野、富山両県境の北アルプス船窪岳を認定した。同日都内で開いた「日本山岳遺産サミット」で、一帯の登山道整備に取り阻む「船窪小屋・道しるべの会」に認定証を授与した。県内の山岳の同遺産認定は初めて。基金は今後、同会の登山道整備に助成金を送る。

 同基金は「山と渓谷社」(同)が創業80周年記念で2010年に設立。美しい山々を次世代に引き継ごうと同年度から同遣産の認定を開始。今回は全国15カ所の自薦の中から、船窪岳のほか北海道のアポイ岳、宮城県の金華山、三重県の大台ケ原大杉谷を認定した。認定地はこれで13カ所となった。

 船窪小屋・道しるべの会は、船窪岳(標高約2300b)に連なる北ア七倉岳の山小屋「船窪小屋」の常連客ら約50人でつくる。船窪岳北の針ノ木谷で古い登山道の復活に挑んだ同小屋主人の松沢宗洋さん(77)=北安曇郡小谷村=の活動を支えた常連客たちが、整備を終えた古道の維持と環境保全を目的に09年に同会を発足させた。遺産認定は「自主的に手弁当で登山道を整備している地道な活動」が評価された。

 認定証授与式で、同会の鳥居照明会長(66)=山梨県北杜市=は「秘境とも言われる船窪岳一帯に登山者が足を運べるよう、これからも取り組みたい」とあいさつした。

 会場には松沢さん、妻の寿子さん(77)のほか、同会事務局の会社員日堂栄次さん(44)=安曇野市=ら会員約10人も訪れた。日堂さんは「登山者を温かく迎えるき松沢さん夫妻を手伝いたいとの思いで活動してきた。認定はとてもうれしい」と話していた。

写真:認定証授与式で登山道の整備活動を紹介する「船窪小屋・道しるべの会」の鳥居会長(中央)=23日夜、都内