捜索用機器性能30倍に

富山県立大など連休明けから実験

信濃毎日新聞 掲載

平成25年05月5日(日)

 登山者の遭難を防止し、遭難した場合も速やかに救助できるようにと、現行機器の30倍以上の探索範囲で登山者の位置を把握できる新兵器≠富山県立大などが開発し、大型連休明けからモニター実験し、実用化を探る。

 携帯電話が通じない山では、携帯型無線機「雪崩ビーコン」が遭難対策の主流だ。発信状態で持ち歩き、仲間が雪に埋まってしまったら受信機に切り替え、電波の発信源を捜し当てることで、救助に役立てる。

 北アルプス・立山連峰を抱く富山県では、電波を出して居場所を伝えるペンダント状の「ヤマタン」という機器も県警が貸し出している。どちらも数十bまで近づかないと電波をキャッチできず、捜索範囲の狭さが難点だったが、2010年の電波法改正で従来の100倍の出力が認められ、開発した。

 県立大の岡田敏美教授(情報システム工学)によると、開発した機器は、「ヤマタンにビーコンの互いに捜索できる機能を足し、さらに衛星利用測位システム(GPS)も備えた。捜索用のアンテナのほか、手のひら大の機器をベルトで体に固定して持ち歩く。地上からの捜索であれば約2`、ヘリコブターは約6`先からでも10〜15bの誤差で捜すことができ、遭難者の早期発見が期待できるという。

写真:富山県立大などが開発した山岳遭難対策の捜索機器