「ヘリ救助民間参入 安易な要請減る」提案

白馬のNPOに知事「勉強する」

信濃毎日新聞 掲載

平成25年04月05日(金)

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 山岳遭難救助などに取り組む北安曇郡白馬村の認定NPO 「ACT(アクト)」が4日、県庁で阿部守一知事と懇談し、県警や県のヘリコプターが担っている遭難救助への民間参入を提案した。有料の民間機が飛ぶようになれば、疲労や靴擦れなどでの安易な救助要請は減るとするACTに対し、知事は「行政は国民の生命、身体を守る責務があり難しい」。ただ、県内外で山岳環境整備などの費用負担の在り方が議論になっていることもあり、知事は「もう少し勉強したい」とし、情報提供などを呼び掛けた。

 懇談は、ヘリ救助の有料化・民営化構想を持つACTが申し入れた。ACTの元村幸時事務局長はスイスの事例を参考に、寄付金などで導入したヘリを航空事業者と連携して運営し、県や県警の要請で有料で出動するとの案を提示。民間機の出動が増えれば、救助を求める側の意識も変わり、県警や県防災ヘリは緊急性の高い救助に対応できるとした。知事は受益者負担の考え方に理解を示しつつ、「街中の救急はドクターヘリも含め無料。どう線引きするのかは難しい」とも話した。

 現在、山岳遭難救助は県警ヘリと県の防災ヘリが担い、救助者に費用請求はしていない。費用負担をめぐっては、田中康夫元知事が2004年、有料化方針を示したが、県警などとの調整が進まず、具体化しなかった。

写真:遭難者をヘリで救助する場合の費用負担について、阿部知事(左)と懇談するACTの元村事務局長(左から2人目)ら