「山の日」運動

信州が率先盛り上げを

信濃毎日新聞 掲載

平成25年03月31日(日)

スクラップ


 「山の日」をつくる動きが加速してきた。

 阿部守一知事は県会で長野県独自の「山の日」を制定する考えを明らかにした。超党派の国会議員による「山の日」制定議員連盟は4月10日に設立総会を開く予定でいる。

 山岳県・長野としては、山に関心が高まるのはありがたいことである。引き続き運動の先頭に立ち早期制定にこぎ着けたい。

 県林務部によると、全国では26の府県が「山の日」や同趣旨の記念日を設けているという。

 日取りはさまざまだ。山梨、岐阜は8月8日。高山植物や雪渓の景観など、アルプスの魅力が発揮される時季である。

 千葉は5月18日、広島は6月第1日曜。緑が美しい季節だ。群馬は10月の第1日曜。四国4県は11月11日を共通の「四国山の日」と定めている。

 全体として標高の低い県では、夏は登山に適さないことが多い。各県の「山の日」を見るとそれ自体、日本の山の多彩さを映し出しているかのようだ。

 日本山岳会は6月第1日曜を、山が最も輝く時季として候補に挙げている。このころ、アルプスの稜線はまだ雪の下にある。それでも日一日と雪解けが進み、麓では緑が楽しめる。信州にとっても悪い時季ではない。

 長野県独自の「山の日」をいつにするか。県はアンケートなどで県民の意識を探るという。

 長野県の運動が刺激になり、日本全体の「山の日」制定につながれば理想的だ。日取りについては柔軟に考えればいい。

 運動は県内でも広がりを見せつつある。松本市では一昨年、昨年と「岳都・松本『山岳フォーラム』」が開催され「山の日」の意味を話し合った。北安曇郡松川村は2年前、5月第3土曜日を村の「山の日」に定めている。

 こうした足元からの取り組みが推進力になるだろう。

 「山の日」を新しい祝日として設けるには祝日法を改正しなければならない。国民の広い理解はこの面からも欠かせない。

 日本は世界有数の山岳国だ。日本山岳会の資料によると、国土地理院の地図に載っている山の数は1万6667。1県当たりでは355になる。国土に占める森林面積は、先進国の中ではフィンランドに次いで2番目だ。

 特に信州である。標高3千b以上の山21のうち、富士山を除く全てが県内か県境、その近くにある。「山の日」の運動は長野県がリードするにふさわしい。