「信州登山案内人」制度

初の座学研修にガイド真剣

信濃毎日新聞 掲載

平成24年11月08日(木)

スクラップ


 県が本年度から新たに始めた、山岳ガイドの資質や能力を見極めて登録を認める「信州登山案内人」制度の初の座学研修が7日、塩尻市の県総合教育センターで開かれた。中国の万里の長城付近で日本人ツアー客3人が死亡した遭難事故の直後だったこともあり、参加した県内のガイドら100人余が熱心に学んだ。

 県観光部によると、同制度の登録は3年に一度更新。移行措置で試験が免除された新制度以前の信州登山案内人も含め、遭難救助などの実技と、ツアー客らへの接遇などを学ぶ座学の研修を、登録期間中にそれぞれ1回以上受けることが義務とされた。

 この日の研修では、山岳ジャーナリストの菊地俊朗さん(松本市)らが県の山岳史などをテーマに講演。菊地さんは県内の山案内人は明治半ばから活躍し、歴史があると指摘。「現在は中高年登山者らが増え、山への知的好奇心が増している。信州の山の魅力を伝えてほしい」と呼び掛けた。

 白馬山案内人組合に所属するガイドの大谷ゆかりさん(37)=相模原市=は万里の長城の遭難事故などに触れ、「気象などの条件が悪いのに『せっかく来たのだから登りたい』というお客さんもいるが、無理だとはっきり言える自信がつくように学んでいきたい」と話していた。

写真:初めて開かれた信州登山案内人の研修会