山梨の73歳女性エベレスト登頂

女性最高齢、自己記録更新

信濃毎日新聞 掲載

平成24年05月20日(日)


 【ニューデリー共同】世界最高峰エベレスト(中国名チヨモランマ、8848b)登山に挑戦していた渡辺玉枝さん(73)=山梨県富士河口湖町=が19日午前7時(日本時間同10時15分)ごろ、登頂に成功し、自身が持つ女性最高齢の記録を10年ぶりに更新した。ネパールの山岳関係者が明らかにした。渡辺さんの健康状態は良好という。

 渡辺さんは2002年5、月にも63歳でエベレストを制覇。ポーランド人登山家が保持していた当時の記録を塗り替えた。

 渡辺さんに同行しているカメラマンの村口徳行さん(55)も7回目の登頂成功となり、自身が持つ日本人の最多登頂記録を更新した。

 渡辺さんや同行者と連絡を取るネパールの山岳関係者によると、渡辺さんは4月に同国の首都カトマンズからチベット側に向かい、エベレスト北側のルートから登頂に挑戦。現地時間の18日夜に8300b付近のキャンプから頂上ヘアタックを開始した。02年は、ネパール側から登った。

 渡辺さんは過去の登山者らが残したごみの清掃をしながら下山し、8〜9日後にカトマンズに戻る予定という。

 渡辺さんは神奈川県庁に勤めていた28歳の時に登山を始め、1991年から8千b級の登頂に成功、2004年には8千b級の5座制覇を達成。05年に故植村直己さんの業績を記念した「植村冒険賞」を受賞した。

 70代のエベレスト制覇は、冒険家の三浦雄一郎さんが03年に当時世界最高齢の70歳で成功。07年5月には上田市真田町長の元中学教員、柳沢勝輔さん(76)が当時の世界最高齢となる71歳で登頂した。三浦さんは08年にも75歳で2度目の登頂を果たした。

 柳沢さんは取材に「ただただ、すごいと思います。山頂付近は岩場で急傾斜が続き、危険な場所がたくさんある。恐怖心にも打ち勝ったんだと思う」と渡辺さんをたたえた。

写真:2002年5月、エベレスト山麓でカメラマンの村口徳行さん(左)とポーズをとる渡辺玉枝さん(AP=共同)


 渡辺 玉枝さん(わたなべ・たまえ)38年11月21日生まれ。山梨県富士河口湖町出身。神奈川県庁時代、職場の仲間と北アルプス・上高地に出掛けたのを契機に本格的な登山を始める。77年に海外遠征を開始。91年、ネパールのチョー・オユー登頂を皮切りに次々と8000b級を制覇。02年5月にエベレスト登頂に成功。04年、ヒマラヤの世界第4位の高峰ローツェに登頂、8000b級の5座制覇を達成した。