山小屋トイレ北ア南部有料

全国初登山者から「利用料」

地域協議会決定

信濃毎日新聞 掲載

平成24年03月14日(水)


 槍ヶ岳や穂高連峰、常念岳など北アルプス南部の山小屋関係者や県などでつくる北ア南部地域協議会は13日、松本市内で会合を開き、山開きがある5月ごろから、登山者に山小屋トイレの「利用料」を負担してもらう方針を決めた。県などによると、山域単位で、維持管理費に充てる負担金を利用料名目で求めるのは全国で初めて。

 北ア南部の山小屋では従来、利用者に任意の協力金を求めてきたが、利用料とすることでより踏み込んで徴収する形になる。北ア南部の山小屋でつくる「北ア山小屋友交会」が4月までに、負担を求めるチラシを加盟する25施設に配り、登山者に周知する。料金は1回100円とし、徴収方法は小屋に任せる。宿泊者の扱いは今後詰める。

 会合では、環境省が北ア南部の山小屋を対象に実施した調査結果を発表。バイオ式など環境型トイレの導入は進んでいるが、整備費は平均約3千万円で維持管理の手間や費用の負担も増している−とした。意見交換会では、協力金を払う利用者が約3割にとどまる一方、ヘリによるし尿の運搬費などがかさみ、維持管理は「赤字状態」と訴える経営者もいた。

 同友交会の山口孝会長は「利用料の使途を登山者に示すなど理解してもらうよう工夫し、環境保全に対する意識を共有するきっかけにしたい」とした。県内では御岳山でも北ア南部と同様の協議会を設立し、利用者に負担を求める方向で検討している。

 山小屋トイレをめぐっては、環境省が2月、国立公園内の山小屋トイレの維持管理費を登山者自身も負担する原則を盛り込んだガイドラインの素案を初めて示した。