県「登山案内人条例案」県会提出へ

山岳ガイド山域ごとに

能力見極め研修義務化

信濃毎日新聞 掲載

平成24年01月26日(木)


 県内での山岳ガイド業について、県が現行制度を見直し、資質や能力を見極めて認証する「信州登山案内人条例案」を県会2月定例会に提出することが25日、分かった。中高年やツアー登山に伴う遭難事故の多発を踏まえ、県内の各山域に精通したガイドの育成と活用を目指す。

 県内では1953(昭和28)年制定の「県観光案内業条例」に基づき、筆記・実技試験に合格し、知事から「信州登山案内人」資格を許可された人だけが報酬を得る山岳ガイドを行える。しかし実際には無許可でガイドを営む事例が後を絶たず、全てに罰則規定(2万円以下の罰金など)を適用するのは現実的ではないという。

 今回の見直しではこの条例を廃止。その上で、積雪のない時期に、整備された登山道を通る登山やハイキングのガイドを想定。現在は全山域でガイドを認めているのを登山者が専門的なガイドを選びやすいように見直し、北アルプス、中央・南アルブス、八ヶ岳、けて、試験では山域ごとに出題する。

 さらに、十分な救助能力があるかを問うため、けが人搬送や応急手当ての技術、岩場の通過に必要な確保技術を実技試験に追加。現在は書類提出のみで可能な更新手続きは、有効期間の3年以内に県が行う研修の受講を義務付ける。県内の安全登山や観光振興につなげるため、制度の周知や信州登山案内人の活用を「県の責務」としている。

 県は、北海道・トムラウシ山で起きたツアー登山の大量遭難などを教訓に2010年度、研究会を設けて山岳ガイドの在り方を検討。新条例実は昨年1月の研究会報告に沿った。新条例に基づく初の試験は6月にも実施予定だが、昨年4月時点で485人いる信州登山案内人は制度移行措置として免除する。