コース外遭難費用請求の条例

繰り返される救助要請

信濃毎日新聞 掲載

平成24年01月04日(水)


 スノーボード中の3人の行方が分からなくなった野沢温泉スキー場がある下高井郡野沢温泉村は2010年12月、「スキー場区域」の外で遭難し、救助された人に救助費用を請求する規定を盛った村スキー場安全条例を制定した。事故防止が主な目的だったが、条例に基づいて救助費用を請求した例は制定直後の昨シーズンだけで3件に上り、今シーズンは今回を含め2件が請求の対象になっている。

 昨季の3件について、スキー場は請求した救助費用を明らかにしていないが、いずれも人件費や車両の燃料の実費という。

 村やスキー場によると、条例制定の背景の一つは、今回のように新雪を求めてコース外に出る人が多いこと。同スキー場には新雪を好む人向けに圧雪していないコースもあるが、コース外で遭難して救助を要請するケースがなくならないという。

 区域外滑走は、雪崩を引き起こして他の利用者に被害を及ぼす恐れがある他、救助員が二次被害に遭う可能性も高まる。降雪後間もなく行った3日の救助でも、救助員は雪崩の危険がある箇所では1人ずつ時間をかけて斜面を進んだという。

 同スキー場の河野博明社長は、区域外滑走はしないよう呼び掛け、「だれもが安心して楽しめるスキー場にしたい」と話している。