山小屋のトイレ整備で環境省

利用者負担指定策定へ

来年度まとめ県内関係者ら協議

信濃毎日新聞 掲載

平成23年12月28日(水)


 環境省は山小屋トイレの利用者負担の在り方などのガイドラインを策定することを決め、27日、県内の山小屋関係者らでつくる検討会の初会合を都内で開いた。ガイドラインは来年度中に取りまとめ、主に国が管理する国立公園内で運用を始める。

 政府の行政刷新会議が昨年の行政事業レビュー(省庁版事業仕分け)の結果などを踏まえ、「受益者負担の在り方が議論されていない」と指摘していた山小屋トイレ整備事業の一環。

 ガイドラインでは、各山域の協議会や同省の出先機関が携帯トイレやバイオ式など環境型トイレの導入、利用料の徴収などを行う際、整備・管理水準を定めるのに必要な要件を示す。策定に当たり、観光客の利用も多い高尾山(東京)や大雪山(北海道)など4カ所で、トイレの利用実態などを調べる。

 検討会委員は、北アルプス山小屋友交会の山口孝会長(松本市)ら7人。初会合で山口会長は、環境型トイレは維持にも多額の費用がかかると指摘し、「山は国民みんなの宝という意識を高めたい」と発言した。他の委員からは、同省の事業を活用して環境型トイレを整備した後も利用者負担の状況をチェックする、登山者に浸透させる適切な態勢づくりが欠かせない、といった意見が出た。

 2012年度の政府予算案で山小屋トイレ整備事業は、行政刷新会議の指摘を受けて11年度当初より4割減の1億500万円とされた。

写真:山小屋トイレの受益者負担の在り方などを議論した環境省の検討会