遭対協負担金など「要改善」

県事業仕分け

信濃毎日新聞 掲載

平成23年09月06日(火)


 県は4日、「信州型事業仕分け」の2日目の議論を県庁で行い、対象16事業のうち、山岳遭難防止対策協会(遭対協)負担金(人件費含め昨年度予算額3888万円)など10件を「要改善」と判定。新しい林業経営者育成事業(同985万円)など残り6件を「現行通り・拡充」とした。

 2日目は商工労働・観光、農業・林業、防災・その他の各分野の事業を議論。教育・子育て、建設、行政運営の各分野を扱った初日に続き、「要改善」が判定件数の6割を超えた一方、この日も「不要」とされた事業はなかった。

 遭対協をめぐっては、遭難者の約8割を県外者が占める中、夏山期の常駐パトロール隊や登山口への相談員の設置などの活動を県負担金で賄っている現状が議論に。県側は安全対策の充実が観光面にも貢献していると説明。仕分け人側は登山者の「自己責任」を問い、入山税や保険加入の義務付けなどを検討するよう提案した。無作為抽出で選ばれた県民判定人による多数決の判定も「要改善」となった。

 入山税などの検討求める山岳遭難救助活動経費(県警・山岳遭難防止対策協会負担金(観光部、県教委、県警 他事業より30分長い1時間半をかけ、県内山岳での遭難者の救助と防止対策の在り方について議論。仕分け人が「全体の8割以上を占める県外から来た遭難者を、県民の税金を使って助けている現状をどう考えるか」と質問。県警は、山岳遭難救助隊(27人)を中心とする救助活動は「警察法などに基づく法令救助。『どこから来た人だから(助けない)』という線引きはできない」とした。

 一方、民間中心の山岳遭難防止対策協会(遭対協)について県教委は「山岳観光県の長野では県警と連携した救助や登山者への指導などを担う遭対協への負担金は必要で、予算増額も検討している」と強調。年間約60万人の県内登山者による観光消費が約224億円に上るとした。仕分け人からは、経験不足や装備不足などで遭難する登山者の「自己責任」を問い、入山税などの徴収の検討を求める声が上がった。県民判定人からも「登山者の費用負担の検討を考えるべきだ」との意見が出た。

 (救助活動=現行通り・拡充14、要改善7、不要1、遭対協=要改善12、現行通り・拡充6、抜本的見直し2、役割分担見直し(市町村)1、同(その他)1)