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北八ヶ岳シカ害で将来「はげ山」の恐れ | |||||||
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八ケ岳・麦草峠(2127b)付近でシラビソなどの細い木の8割以上がニホンジカに樹皮をかじられ、被害が深刻化していることが、信大農学部の竹田謙一准教授(応用動物行動学)の調査で分かった。茅野市で6日開いた南北八ケ岳保護管理運営協議会の理事会で結果が報告された。竹田准教授は「幼木が育たないといずれ北八ケ岳は『はげ山』になり「縞枯れ現象やこけむした景観が損なわれる恐れがある」と指摘した。
調査は長野・山梨両県の9市町村や観光団体などでつくる同協議会と南信森林管理署の委託を受け、同市と南佐久郡佐久穂町境の麦革峠に近い同市側の国有林で昨年11月に実施。ササが多く、シカが出没しやすいとみられる地点を選んでシラビソやナナカマドなどの食害の状況を調べた。直径15a以下の細い樹木は、99本のうち82本、83%が幹周りの樹皮をかじり取られていた。一方、直径15〜20aの比較的太い木の被害は、29本中15本で52%に下がった。
竹田准教授は「シカが食べやすい細い木から被害に遭っている」と分析。幼木が枯れると森林に日光が入りやすくなり、コケに覆われた北八ケ岳独特の景観が見られなくなる恐れがあるとする。
報告を受け同協議会は、シカを捕獲して衛星利用測位システム(GPS)を付け、麦草峠周辺の行動を調べることを決定。また、捕獲数を増やすことも検討していく。