学校登山登りやすい山へ

県内中学ガイドも同行傾向

県山岳総合センター調査
八ヶ岳連峰硫黄岳が人気

信濃毎日新聞 掲載

平成23年04月13日(水)


 登りやすい山へ、山岳ガイド同行でl。県内の中学の学校登山で、こんな傾向が強まっ ていることが県山岳総合センター(大町市)の調査で分かった。昨年度、学校登山をしたのは178校で、目的地は、山小屋が多く、比較的険しくない八ヶ岳連峰の硫黄岳(2760b)周辺が22%と最多。ガイドを頼んだ学校も84%を占めた。同センターは「山の魅力を幅広く、安全に生徒に伝えようとする学校が増えている」とみている。

 同センターは1992年から中学の学校登山について調査。昨年度は、特別支援学校を除く公立、国立、私立の全198校に用紙を送った。回収率は100%。20校は学校登山をしていなかった。

 天狗岳(2646b)などを含めた硫黄岳周辺は、92年の調査より15校増え、39校。同センターによると、山小屋を拠点に山頂を往復できることから、安全面などを理由に選ばれているという。

 地元の茅野市北部中は、かつては硫黄岳から赤岳(2899b)へ縦走していたが、10年ほど前から縦走のほか、硫黄岳周辺などコース別に実施。平田孝司校長は「二度と山に登りたくないという思いをさせないため、体力などに合わせて選択できるようにしている」と説明する。

 硫黄岳周辺に次ぐのは、バスで標高約2700bまで上がれる北アルプス乗鞍岳(3026b)の34校で、92年比9校増加。上高地の散策と合わせて計画する学校が多いという。3位は、途中までゴンドラリフトがある北ア唐松岳(2696b)周辺の26校で、92年は1校だけだった。

 一方、登山ガイドを依頼する学校は92年には59校だったが、今回は150校に上った。北ア燕岳(2763b)で学校登山をしている松本市松島中もその一つで、矢沢淳校長は「地元の山をよく知るガイドは、安全面だけでなく山の魅力も伝えられる」と話す。松本市は本年度から、市立の全19中学の学校登山に同行する山岳ガイドを手配し、費用を全額負担する。

 同センターの傘木靖・専門主事は「登山前にガイドと一緒に下見をする学校もあり、安全への意識は高まっている」と話している。

写真: 学校登山で燕岳山頂を目指す中学生たち=昨年7月21日