遭難救助経験生かし捜索

岩手県要請で「手助け続けたい」

雪山事故防止に取り組むNPO

信濃毎日新聞 掲載

平成23年04月06日(水)


 雪崩遭難など雪山事故防止に取り組む北安曇郡白馬村のNPO法人「ACT」 (アクト)が、東日本大震災で津波被害を受けた岩手県側の要請で、行方不明者の捜索に加わっている。山岳遭難者の救助、捜索の経験を生かし、現地で車内に泊まり、自炊しながら活動。5日は第3陣7人が、被害が壊滅的だった沿岸部の大槌町に向けて出発した。

 大震災発生後、自分たちの技術・経験を生かしたいと岩手県に申し出た。第1陣5人が3月24日に出発し、釜石市内で被災状況の確認や不明者捜索に従事。第2陣7人は31日から、依頼を受けた大槌町で本格的な捜索を2日まで行い、第3陣に引き継いだ。

 大槌町では、海岸から500b以上離れた山の斜面に、押し流された家の屋根などが6b以上積み重なった場所を担当。半径25bほどの区域で、自衛隊員らとともに、かぎ爪が付いた棒でがれきを一つ一つどけ」ACTだけで4人の遺体を見つけたという。

 現地入りした理事長の元村幸時さん(48)によると、地元行政は行方不明者捜索まで手が回っていない面もあり、「家

族の姿を探して、がれきの山の前でぼうぜんとしている人たちが今もいる」。遺体捜索に対して直接感謝されることも度々だといい、「住民の方々が一歩でも前に進める手助けを続けたい」と話している。

 不明者捜索は無償で、ACTは活動資金を募っている。寄付は「八十二銀行白馬支店(普通)106078特定非営利活動法人ACT」へ。

写真:津波被害を受けた岩手県大槌町で行方不明者を捜索するACTメンバー(ACT提供)