白馬・北ア小日向山の雪崩事故

地震影響NPOも指摘

横浜の「ネット」が現場調査

信濃毎日新聞 掲載

平成23年03月18日(金)


 研究者らでつくるNPO法人「日本雪崩ネットワーク」(横浜市)が、北安曇郡白馬村の北アルプス小日向山(1907b)で11日に発生したとみられる雪崩の調査を17日までに行い、東日本大震災で雪崩が発生した可能性があるとの見解をまとめた。この雪崩では、山スキーやスノーボードに入っていた男性3人が死亡。地震と雪崩との関係が指摘されていた。

 同ネットはスタッフ4人が14日に現場に入り、同山北東側の斜面を調査。遺体が見つかった地点から約500b高い標高1780b地点に深さ約70a、幅150b以上の規模で積もった雪が破断し、崩落している場所を見つけた。破断場所の雪面の斜度は約40度で、雨などで固まった雪の層の上に積もった雪が滑り落ちる「表層雪崩」だったという。

 スキーや歩行などの衝撃で発生する人為的な雪崩は多くの場合、斜度30〜45度の雪面で発生。破断面の規模は一般的に深さ40〜60a、幅約50b程度という。これに対し、今回の雪崩は崩落が広がりにくい軟らかい雪質だったのに、大規模だった。

 長野地方気象台によると、東日本大震災時、白馬村と隣接する大町市では震度3を観測。同ネットの出川あずさ理事長(50)は「人為的な原因の可能性もあるが、規模の大きさ、現場付近で複数の斜面で雪崩があったことから、地震の揺れで発生した可能性がある」と説明。「雪崩が起きそうな場所には注意が必要」と呼び掛けている。

 県内でも各地で地震が相次いでおり、同気象台も地震による雪崩発生の危険性は高いとしている。

写真:3人の遺体が見つかった雪崩跡の上部。上下に置いた物差しの右側に雪の破断面が見える=14日正午、小日向山上部(日本雪崩ネットワーク提供)