雪山救助訓練

信濃毎日新聞 掲載

平成23年02月09日(水)


救命専門学校生、ビーコン捜索(湯の丸高原)

 東御市の湯の丸高原で8日、同市田中の長野救命医療専門学校と菅平・湯の丸地区山岳遭難防止対策協会が合同訓練をした。同校は専門学校では全国でも珍しいという山岳救命コースがあり、同コースの2年生11人と湯の丸スキー場のパトロール隊員など30人余が参加。生徒たちは、雪崩で人が埋まったと想定し、位置情報を知らせるビーコン(電波送受信機)の使い方を遭対協の隊員から学んだ。

 同校の宮尾英幸さん(20)=小諸市古城=が代表して、雪の中にあらかじめ埋められたビーコンを捜す訓練をした。別のビーコンを持ち、雪の中から発信されている距離と方角の情報を受信しながら、数分で捜し当てた。

 遭対協の隊員は「実際に雪崩が起きると、もっと焦る。落ち着いて距離と方向を確認したら、全速力で捜しに向かってほしい」。宮尾さんは「初めてだったが使いやすかった。救助をする時があれば率先して使いたい」と話した。

 自動体外式除細動器(AED)の仕組みを熟知している同校生徒たちは、パトロール隊員らに使い方を教えた。
 同校と遭対協湯の丸地区救助隊が遭難対策で連携協定を結んだ2008年以降、毎年数回、合同訓練をしている。

写真:雪中に埋めた巴-コンを捜す訓l練

県警と遭対協、山スキーに対応

 北安曇郡小谷村の栂池高原で8日、県警と全県の山岳遭難防止対策協会の救助隊員らによる雪山救助訓練が3日間の日程で始まった。同高原では1月だけで山スキーヤーらの遭難・事故が3件発生。約50人の参加者は、山スキーの板の扱い方や、雪に埋もれた人の位置を知らせるビーコン(電波送受信機)の使用法などを真剣な表情で確かめた。

 訓練は毎冬、若手とベテランがともに基本動作を再確認するため、持ち回りでスキー場周辺で開いている。一行はゴンドラリフトで、山スキーヤーらがよく入山する標高1700b付近へ。滑り止めの「シール」を付けたスキー板で雪の斜面を上る講習では、熟練者が助言した。9日以降も、スキー板でそりを作り遭難者を搬送する方法などを訓練する。

 リフトを乗り継いで入山しやすい栂池高原一帯は山スキーヤーらの人気スポット。大町署によると、滑降ルートを見誤って迷う単独行者も少なくない。訓練担当の新井斉・県警本部地域課救助係長は「1人で入山するのはリスクが大きい」と話していた。

写真:シールを付けたスキーで斜面を上る訓練参加者