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北アで雪崩-心肺停止男性4時間後に蘇生 | |||||||
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信大病院(松本市)は八日午前、四月に北アルプスで雪崩に巻き込まれ意識不明となっていた埼玉県鴻巣市の男性(29)が意識を取り戻し、六月中旬にも退院の見通しと発表した。男性は心肺停止確認から約二時間四十五分後、同病院で人工心肺装置を付けた。同病院は「心肺停止からこれほど時間をおいて回復した例は国内初」としている。この男性は四月八日、父親ら計五人で山スキーをするため北安曇郡小谷村の栂池高原に入山」雪崩に巻き込まれ身動きが取れなくなった。九日朝、一人が自力で栂池自然園に下山。残る四人を県警ヘリコプターで救出したが、男性を除く三人は死亡した。
同病院によると、男性は心肺停止確認から約二時間半後、心臓マッサージを受けながら同病院に到着。体温は二二・四度と極度に低く、到着から約十五分後に人工心肺装置を取り付けた。その約一時間後に心肺が蘇生(そせい)。徐々に体温を上げる脳低体温療法などで、約三週間後には話せるまでに回復した。
この日、記者会見した岡元和文・同病院救命救急センター長は「二十九歳の成人が長時間の心肺停止から全能力が回復するまでになった。県警、広域消防、医療が全力で連携する大切さを教えてくれた」と話した。男性は「心肺が停止したにもかかわらず生きて帰れた。今では歩行や手洗いが一人でできる。本当にありがとうございました」とのコメントを出した。
同病院によると、似た事例で心肺停止から回復した最長は、ノルウェーのスキーヤーの約六時間半。同センターの関口幸男医師は「低体温による死亡率は三-五割というデータもある、国内では心肺停止から一時間前後の回復で、長いとされる」と説明。同病院では二〇〇三年、池でおぼれた二歳女児が約二時間後に蘇生した例がある。