信濃毎日新聞社平成29/10/13

クライミング遊具 中に避難出来ます

米子製作所 幼児向けに開発 

避難用に内部を空洞にした遊具「クライミングシェルター」

 突起物を手がかりにょじ登る人工壁「クライミングウォール」製造の米子製作所(上高井郡高山村)は、地震や突風、急な雷雨の際に避難できるシェルター (退避壕)タイプの幼児向け遊具を開発し、販売に力を入れている。子どもの体力づくりの遊具に、「緊急時の避難先」という新たな機能を付け加えたアイデア商品で、保育園や幼稚園などに売り込んでいる。

 商品名は「クライミングシェルタ」。トンネル形にして二つの入り口を設け、壁面の一方によじ登るための突起物を付け、もう一方はなだらかな斜面の滑り台にした。一方の壁面から滑り台の先までの長さは3b、高さは1b35a。幅は2b35aと3b25aの2種類を用意した。大きい方で、子ども15人ほどが入れるという。

 表面はガラス繊維強化プラスチック(GFRP)製。内部にステンレス製の柱を入れて強度を補強した。試験の結果、上から約4dの衝撃が加わっても耐えられるという。税込み価格は、幅の短い方が195万4800円、長い方が252万7200円。昨年冬の発売以来、九州地方の幼稚園向けに2台が売れ、他にも引き合いが続いている。

 開発のきっかけは、横浜市にある営業本部の担当者が福島県で耳にした、幼児向け遊具

の納入先の言葉。「もし地震が起きて建物の窓ガラスが落ちてきたら、子どもの逃げる場所がない」。これを聞いた米子製作所の坂口孔一(よしかず)会長が、「単なるシェルターではなく、普段は遊具として使えるものを作りたい」と今回の商品を発案した。

 同社は1973年設立。エノキ農家の工場で使う空調機器を開発・製造していたが、坂口会長が旅行先の欧州で見たのをきっかけに91年、クライミングウォールを事業化した。98年に保育園、幼稚園向け商品を開発。

これまでに約1400台を販売したという。2020年東京五輪でスポーツクライミングが競技種目として採用されたことも 「追い風」と捉え、事業の拡大を目指す。

 

五輪種目採用「追い風」 幼稚園などへ売り込み