会長あいさつ

         石川秀規 

 この度の、長野県山岳連盟総会におきまして、会長に再任頂きました石川でございます。今年度から、元文部科学大臣で参議院議員であられます小坂憲次先生を名誉会長に戴き、同じく参議院議員の若林健太先生を最高顧問に、加えまして元県議会議長であり県議会議員の石田治一郎先生を筆頭顧問として、長野県においてこれを勝ることのない超大物先生方にご就任戴き、長野県の山岳界におけるご指導を賜ることになりましたことは、あまりに若輩の会長としまして、責任の重さに身の震えるところであります。また長野県山岳連盟にとってもこの上ない栄誉であると存じます。

 さて、長野県山岳連盟は山岳会の連合体であることは論を俟ちません。もともと山岳会は、個人では到達できない危険な頂きもパートナーを組むことによって成功させることができるというのが一番大きな利点であるかと思います。そのための技術、知識を学ぶ場所が山岳会であり、その山岳会も小さな会、経験の少ない会では、なかなか技術向上も難しく、よって経験豊かな山岳会との技術交流をもち、登山全般の知識を持ち寄り、互いの相互理解、共存共栄することが一番上達の近道と考えるものです。聞くところによりますと、ある団体は登山者の為にある。と説く組織があるやに伺いますが、私達が団体を組む意味は、自分たちの目的達成のために組む連合体であると認識しています。登山者のための組織と言うことに意を唱えるつもりはありませんが、自分の安全を確保できずに、他人の安全を確保できる術がないように、自らの鍛錬や活動が付随して登山者の利益に付いてゆくものであって、あと先が逆に感じる次第です。私達は加盟会員のために何が出来るのか、どのように応援できるのかの共同体であることを忘れてはならないと考えるものです。

 山岳会員の登山に対する楽しみ方は多種多様で、山岳における自然環境に憂慮する方、スポーツクライミングに興じる方、海外登山や初登攀など冒険的な登山に生きがいを感じる方などがおり、やりたい人がやりたいことを応援できるような組織でありたい。組織権力で会員の芽を摘むような、目的を抑制するような団体であってはならないと強く感じているものです。

 日本の優れた山岳景勝地、長野県の誇れる山岳連盟として、会員が目的に対して先がみえないことのないように、多彩にわたって応えられるよう努力していきたいと考えています。全てのご意見を叶えるには余りに未熟ではありますが、皆様の、望みと原点を忘れずに、名誉会長、顧問、参与、並びに会員の皆様方からのご指導を仰ぎ、長野県山岳連盟の活動を進めてゆくことを期して、挨拶にかえさせていただきます。